山口二郎法政大教授の講演会「戦後憲法体制の危機をどう打開するか」が21日、愛媛県宇和島市住吉町1丁目の市総合福祉センターであった。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法の成立により「日本は戦争ができる国になってしまい、暗雲が立ちこめる危険な状態」と指摘し、憲法9条を守る重要性を訴えた。
 日本国憲法制定の経緯について「天皇制を残すためには、日本の戦前と戦後の断絶性を明らかにする必要があり、戦争の放棄を宣言することで別の国に生まれ変わったことを証明した」と説明。「9条は日本にとっての最高法規であると同時に、第2次世界大戦後の世界秩序の柱であったといえる」と評価した。
 戦後の平和は憲法がつくったとして「現政権が進めようとする憲法改正の客観的な必要性はない」と断言した。
 一方で、安保関連法をめぐる動きから「9条の訴求力を発見できたのは収穫」と分析。デモなどの活動を例に、若者が声を上げるなど政治参加へのハードルが下がり、新しい政治文化が誕生したとして「今何かしないと後悔する、という思いで一人一人が行動していくことが必要だ」と訴えた。